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私の登山の教科書

The Climb/Anatoli Boukreev/St.Martin's Paperback  


1996年5月10日、エベレスト(8848m)に日本人の女性登山家が登頂に成功した。 日本人の女性で2番目に7大陸の最高峰をすべて登頂した。 しかし、下山することができなかった。 このニュースは、登山がいかに危険なスポーツであるかを、あらためて思い起こさせた。 しかし、この本を読むまでは、どうしてそんなに危険か、理解できなかった。 エベレストなどの高山は、酸素が希薄になり高度順応が必要である。酸素が不足すると脳細胞が破壊され、死にいたる場合がある。 高山で動けなくなると、それは、死を意味することになる。意識があっても、生きていても、誰も手を差し伸べることができない。ただ、死を待つだけになる。 南東尾根から登った3遠征隊33人のうち、この日5人が下山できずなくなった。 著者のアナトーリ・ブクリーエフは、その1隊であるスコット・フィッシャー隊のガイドをつとめ、その悲劇の全容を報告したものである。登山が、いかに危険であるかを再認識した。