2009
ロンドン旅行参考メモ
In London Sunday 8 to Friday 13 March 2009
これから英国を旅する人に参考になればと考えた
初めて英国を訪れて大いに戸惑った。これから行ってみようと思う人たちに参考になればと思う点をまとめてみた。
旅は企画により決まる
いい旅ができるかどうかは、ひとえに企画の良し悪しにかかっている。
自分で旅の内容を決めることができることを前提にしているが。最低、ガイドブックを読むことが必要だ。
食事、お土産、ショッピングとかに焦点を絞った紀行文や随筆は、説明が詳細になる分、とても助かる。
それでも不明な点は、google検索で調べてみることができる。
例えば、PUBでの注文の仕方は、これで知った。おかげでale、guiness、fish&chipsにありつけた。
しかし、いってみてわかったことだが、欠けているものがある。
それは、美術館・博物館に行って、何を見るかという視点である。
展示物の種類・数が、日本のそれと桁違いに多い。彫刻、宝石、陶器が多い。
私は、見ている途中で見る方法を変えた。私は、もともと写実性の高い絵画が好きだ。
別の言い方をすれば、わかりやすいもののほうが自分にあっている。
ガイドブック等には、通常、見逃してはならないものを先に見て、その後流して見ることを勧めている。
問題は、流してみるものの範囲・規模があまりに大きいということなのである。
事前にwebで美術館などの展示内容の特徴を把握して、ある程度、対象の絞込みをしておいたほうがいい。
また、特別展(exhibition)は有料だが、自分がみたいものがあれば、2千円前後の入場料など気にしないで当然みるべきである。
事前調査が不十分の場合、常設展(無料)も全部見れないのに、特別展まで見る余裕はないという結果になる。
また、見る目的や対象が明確ならば、週一回、曜日を限って深夜まで開館していることがあるので、その時間を使ってじっくりと作品やその解説を読むこともできる。
食事・買い物も同様に事前調査が重要である。食事は予約が必要な場合もあるし、ドレスコードの有無も調べておかないと、とても怖くて入れないだろう。お金さえあればいいというものでもない。
買い物は、時間を有効に使うためにも、よく調べておいたほうがいい。
今は、郊外のoutletが注目されているようだ。もちろんブランド品を安く手に入れることができるからだ。
また、チャリティショップは中古でブランド物を手に入れる手段として残されている。
今回、残念ながらレストランもショッピングも私には無縁であった。ひとりでフレンチを食べてもさまにならないし、買い物してもスーツケースには入らないからだ。ノートPCとその包装材料で容量・重量ともいっぱいいっぱいというところである。
入国審査では想定問答集が必要だ
普段、英会話など無縁の者がにわかじたてで勉強してもnativeの発音が聞き取れるはずがないとあきらめていた。
しかし、他の日本人に助けてもらわなくともいいようにするには、ここは押さえておいたほうがいい。
現在、英国は不法就労に敏感である。その影響でこんな質問が来るとは予想外であった。
入国カードの職業を退職者と記入した。これに質問が来た。質問は順序立てられている。
まず家族がいるか確認された。いると答えると、退職後の観光旅行なら、なぜ家族と一緒じゃないのかと詰問された。
妻は今仕事をしていると、時制不一致のめちゃくちゃな回答をしたら、ハンコを押して通過できた。
さて、このような質問をnativeからされて、すぐに答えられる人が何人いるのだろうか。
もし、職業を会社員としたらどうだろうか。私はこちらのほうを心配した。確かに3月末まで現役ではあるが、連休でもないのに、観光に1人できて何を見るのかと聞かれそうではないか。むしろ退職なら時間はいくらでもあるから筋はとおっていたのだが。
想定問答集を作るなら、入国カードの記載事項のほかに次を入れておきたい。
配偶者の有無。家族の人数。観光の目的(例 ゆっくり美術館めぐりをする。英国の田舎を見に来た。有名デパートを見てまわり買い物を楽しみたい等。)
連絡先が誰か。所持金。クレジットカードの有無。
帰国便の航空会社、便名、出発日。
帰国時British Airwaysの搭乗券を自分でプリントする
帰国時British Airways を使うならオンライン端末(checkin kiosk)から搭乗券をプリントしなければならない。
私はJALPAKの現地サポートのお世話になったが、手続きの途中で、セキュリティ関連の質問がある。
よく読んで答えなければならない。質問は、NOの回答を期待しているからだ。依託荷物に関しての質問で、他人が関与したか、他人から頼まれたものを入れたかなどの内容である。もしYESと答えると、きっとどこかで保安要員からチェックを受けることになるのであろう。
コインのポンド、ペンスは見分けられるようにしておくべきだ
買い物する時に、常に紙幣を出してお釣りをもらうつもりであれば話は別である。
しかし、それでは大量のコインを日本に持ち帰ることになるが、両替はできない。
チップに使ったり、コインの在庫を減らしながら買い物するには、事前にwebで見てコインの形状とその値を記憶しておいたほうがいい。種類が多いからだ。特にペンスは、50,20,10,5,2,1まである。高額なものほど、形が大きければ苦労はしないのだが。
移動は地下鉄が最適
予備知識として覚えておいたほうがいいのは次のとおり。
ホテルの最寄り駅。Central線のBond Street、Oxford Circus、Bankの各駅の位置、ホテルの最寄り駅からCharing Cross駅までの乗り継ぎ駅。
市内をまわるのによく使う駅なのである。Charing Cross駅はTrafalgar広場、National Galleryの駅である。
ここからBond Streetに出て買い物するなら、歩いてPiccadilly Circusまで行けばいい。
他の駅は、市内各所に行くときの乗り換え駅としてよく使う。例えば、Tate Britain 美術館に行くには、最寄り駅がPimlicoであることさえわかれば、Oxford CircusでVictoria線に乗り換えて南行きでPimlicoで下車すればいいことになる。
地下鉄の切符は、Travel Cardがいいだろう。4日以上いるなら7daysがいい。Zone1,2で十分である。
名所・旧跡はこのエリア内にあるといわれている。
このカードは、割安なOyster Cardと同じ形状で、改札口の読取装置にカードをなでるようにするだけで、改札が開く。
乗り換え駅では、とにかく案内表示のとおりに歩いていけばよい。
小さいスーパーマーケットが多い
日本のコンビニエンス・ストアは極端にアイテム数が多い。食品・日用品が主体で雑誌まで置いている。
しかし、ロンドンではコンビニは見かけないが、売り場面積が、30坪程度の小売店はたくさんある。
食品が主体で日用品は限られている。sandwichやbaguetteは、種類豊富であり、カットフルーツも多様である。いずれもボリュームがあり値段も高い。しかし、ほんとうに食べたという気がする。M&S,tesco,sparに行ってみた。レジはposなので、間違いはないし、一言もしゃべらずに買い物ができる。
近くの公園を歩いてみららどうだろう
市内の40%が公園とか。ホテルの近くの公園を歩いてみてはどうか。地下鉄は9:30を過ぎると混雑から解放される。美術館などの開館時間は9:30または10:00である。朝食以降の空き時間を近くの公園の散歩に使うのは有効である。気持ちが落ち着く。ロンドンにいるのだが、東京などの都会の公園にいるのとかわらぬ気分となる。違和感がなくなる。
WI-FI接続可能なmini-notePCがあれば最高
常にwebに接続できる環境があることはとてもいいことだ。できればホテル選びで有無と有料・無料、料金を事前にメールで確認できれば、なおいい。ホテルのconciergeで、The cheaper、the better.な料金を聞いてみてほしい。
5泊のみだが、7days packが最安値48ポンドだった。日本での1ヵ月間の接続料金に匹敵する。しかし、サクサクとした感じで、有線LANとかわらぬレスポンスであった。家族とも逐次連絡でき、天気予報も見れるし、googleで調べられるのがいい。カメラはデジカメが主流だが、メモリがいっぱいになればデータをPCに落とすしかない。そのPCがnetに接続できれば、日本にいるのと変わらない。skypeもできれば、電話も無料となる。netは実に重宝する。
英国史をよく調べてからNational Portrait Galleryに行こう
感動が倍加する。英国の黄金期を築いたといわれるVictoria女王をはじめ、英国史に登場する政治家、企業家、芸術家を肖像画、彫刻、写真で見ることができる。英国人の歴史を切り開いた先人たちへの尊敬の念が伝わってくる。同時代人の肖像としてJudi Dench(007のMI6のboss)があった。彼女は英国人にとっては特別の女優なのであろう。
大英博物館の古代彫刻は見るべきだ
B5程度の書籍でこの感動を得ることはできない。岩石の壁に古代の覇者が後世の人に語っている。
Assyriaのライオン狩りを見ていると、ライオン狩りは戦争と同等の事件であることがわかる。
訓練ではなく、戦争そのものなのだ。襲撃されて死者が出ている。絵巻物のように、戦勝パレードや戦争を描いている。
ルネサンス期にお手本となった、ギリシャ・ローマ時代の彫刻は、生と躍動が伝わってくる。ロゼッタストーンやミイラも必見だが、古代人が後世に伝えたかったことに、素直に眼を向けてみることは大切なことではないだろうか。
絵画は自分に共感を与えるものに的を絞って見てはどうか
最初に見たTate Modern は同時代人の作品を展示している。残念ながら感動を共有するにいたらなかった。
素直にいいなと思う作品は、Tate Britainでみた写実的な風景画や人物画である。見ていると作家の息遣いが感じられる。最初から美術館MAPで、それらが陳列された部屋に直行し、ゆっくりと作品と解説を見て理解を深めたほうがよかったと思っている。National Gallery、Victoria & Albert Museum、Tate Britain、British Museum もそういう見方で回ったらきっと違った感動を持ち帰ることができたのではないかと思っている。
更に、英国の画家ターナーと前後の時代の作品を見ることを勧める。ターナーが英国待望の天才画家であったことがわかるであろう。
美術館・博物館は英国人の富の再配分か
入場料無料だ。有料なのは、セントポール寺院やウエストミンスター寺院などの教会施設である。
富者は蓄積した財力で世界から美術品を蒐集した。死後、国家に寄贈し、それが展示されている。高価なだけに多くの職員が館内に配置され、照会対応や監視をしている。館内いたるところにカメラが設置され、入場者の挙動をモニターしている。相当な経費がかかるであろうが、英国民はそれが必要経費であると認めていることになる。
館内のあちこちで、名画を前に子供たちが授業を受けている。子供たちは先人の偉業に触れ、歴史を知り、大人になって社会人となったときの自分の姿を二重写しにして、これから生活していくのであろう。
英国民の教育に対する姿勢の一端を見る思いがした。
美術館のレストランはおいしい
どこにでもあり、メニュは豊富。restaurantはwaiter-serviceがあり、cafeはself-sericeである。
おいしくいただくには、メニューの内容について予備知識が必要である。
また、コーヒー・紅茶でも、その種類と英文にした場合の基礎知識は必要である。
そうすれば、臆することなくおいしい食事を注文し食べることができるだろう。
入国・出国を選ぶなら平日を
土日限定で開店する店がある。また、現地サポートが入っていると土日の入出国は追加料金となる。
英国人は、皆が休む土日を大切にしている。現地要員、運転手とも本来休日なのだ。
航空券もホテルもwebで予約すれば安価となる
これは調べただけで、実際に購入して比較したものではない。
しかし、同じホテルでもwebで予約をすれば、半額以下である。航空券も信じられない価格がでている。
旅なれた人は、webですべての手配をして経費をおさえているのであろうか。
われわれが見習うのは英国かもしれない
確かに第二次大戦後、米国に世界の主導権を奪われたように思う。
世界の平和を維持しているのは米国という気がする。米国の艦隊が世界の海を航行している。
また、事が起きれば世界に駐留している米軍基地から戦闘機が飛び立てる体制がある。
しかし、まず人が望むのは健康で毎日の生活ができる普通の社会をつくり維持することではないだろうか。
本来、自国内で再生産が可能であれば、自給自足な国家が一番いいかもしれない。
国家の構成員である各人が社会に適切に貢献していれば、別に問題はない。
ただ、欲望には限度がないので、社会の発展に貢献すれば、それに応じた報酬がえられる制度を作って、社会の発展に勢いがつくようにつくられているのが今の世の中だと思う。
健康は時に失われる。年をとれば若いときと同じような仕事ができなくなる。
その時の対応が、動物と人間の社会の違いではないだろうか。
ところが、動物社会なみの対応でいいとしたのが、最近まで世界を支配した新自由主義の姿勢だと思う。
確か今まで先輩がめざした日本の社会は健康保険も年金もある、理想的なものであった。
それがいつからか、能力・財力があるものだけが、常に勝者となり、もたざるものでも努力すればそれなりの生活ができるという希望がなくなってしまった。大病をしたら敗者復活が不可能なくらい追い詰められている。
英国に問題がないというつもりはないが、少しでも問題を解決しようとする気概がある。
ホームレス対策がある。自立するまで家を提供してもらえる。医者にもかかれる。再起・復活が可能な社会である。
これらの施策は、政治家が何もいわれなくとも作ってくれたものだろうか。
どうも違うようだ。議論する人がいて、それが具体的な施策になる仕組みが、長い歴史のなかでつくられたようだ。
まず自分はどうしたいのかを、考える習慣がある。そんなことを考えても、言っても何も変わらないとか、無駄だと結論付けない姿勢が大事なのではないか。
個人の考え方の基礎のつくりが違うのかもしれない。
議会ができた経過は今日の英国を知る上で貴重である。
議場には今も議員全員の席はない。議員から議論をしてもらわねばならないという知恵がいかされている。
議員に居眠りをしていてもらっては困るのだ。
世の中、制度さえ作れば、実態は後でついてくるといいきれないものがあるらしい。
National Portrait Galleryには、政治家の肖像画が多いと感じた。英国民の期待の現れであろうか。
PHOTO