山行の報告 home


1997

朝日連峰・竜門山(1687m) 


Fri.May 16.1997/曇り
新潟(17:20) (小国町経由) (22:00)日暮沢小屋(泊)
Sat.May 17.1997/雷雨のち晴れ
日暮沢小屋(7:00)  (10:30)竜門小屋(泊)
Sun.May 18.1997/晴れ
竜門小屋(5:45) (6:00)竜門山(6:15)  (8:30)日暮沢小屋(8:50) (9:30)柳川温泉(10:00)  (13:30)新津

 (5/16)
 ワクワクする気持ちを抑えて車に乗り込み職場を後にする。渋滞を避け、競馬場IC、月岡温泉、R290を経てR113に乗る。その後のルートは、手ノ子、飯豊町、白鷹町、R287,朝日町ワイナリ、柳川、大井沢トンネル、根子、日暮沢小屋となる。
 柳川以降は、対向車が無い。細い九十九折りの山道で、夜間は、1人では通りたくない道である。鶴岡経由より20km、30分ほど短縮できる。飯豊町、白鷹町付近は、田植えを終えた水田が、川のように見える。カエルがかまびすしく鳴く。
 朝日連峰は、秋以降半年以上の間、一般の人を寄せ付けない。新緑の朝日連峰を訪れるのは、今回が、一番早い。竜門山直下の雪渓が、アイゼンなしで登れるか懸念される。
 4時間半ほどで日暮沢小屋に到着する。今夜は、貸し切りである。天気予報が芳しくないので、多くの人が、中止したのかもしれない。

 (5/17)
 明け方、激しい雷雨となる。様子を見るしかない。朝食、パッキングをする。雷鳴の間隔が長くなる。また、遠くに聞こえるようになる。7:00に出発する。雨は、やまない。レインウエア上下、スパッツを使う。1時間ほどすると登山道に雪が残るようになる。清太岩山手前から雪面の登りとなる。所々にある赤い布が、迷いそうなところにあり、実にありがたい。感謝。清太岩山手前に雪庇がせり出ている場所がある。急な登りである。左側が雪庇の高さが低いので、そこをめざす。このあたりの新緑が一番綺麗である。
 風が強くなり、フードのひもを締めないと風をはらんで脱げてしまう。登山道が出ているところには、イワウチワ、カタクリが咲いている。カタクリは、花を閉じている。清太岩山直下は、雪渓が馬の背のようになっている。熊糞山から竜門山までは、雪渓が雨で溶け、登山道は、まるで川である。いよいよ最後の雪渓であるが、ガスで頂上の方向さえわからない。雪は柔らかくステップを刻むことができる。煤煙やゴミで、雪渓の上下に幾筋も縞模様が走っている。それを頼りにまっすぐ上をめざす。赤い布がついた竹が転がっている。それを雪に立て直す。明日もガスれば、これが唯一の目印である。両側は、深い谷まで雪渓が落ちているはずだ。しばらく登ると小さい雪庇が現れる。雪渓の上部に到着したようだが、位置がわからない。さらに上をめざすと山頂の藪が現れる。ホッとする。夏道を小屋に向かって降りる。小屋の前の水がまだ出ていない。下の雪渓から雪を採ってくる。
 3時過ぎから陽が射すようになる。寒江山が見える。以東岳は、雲がかかって完全には見えない。西朝日岳は、北面に雪渓が残る。風は相変わらず強い。
 夜になると、月や星が見える。風が吹くと小屋が揺れる。村上か新発田か街の灯りが郷愁を誘う。このまま天気がもってくれればよいが。

 (5/18)
 4時過ぎ、外がほの明るくなる。1時間ごとに目が覚めたせいかなかなか起きれない。5時過ぎ起床、朝食、出発準備をする。風が穏やかになる。6時前小屋を出発する。かなり冷え込んでいる。霜柱が立つ。竜門山で大朝日岳、西朝日岳、以東岳、月山の写真を撮る。
 今日は、このまま下山する。竜門山直下の雪渓は、予想通りガリガリである。しかし、それほど急傾斜ではない。デコボコがあり、それを足がかりに下る。たしかにガスれば尾根の両側は深い谷だけに、下る勇気が萎えるだろう。登山道に降り立つと、表面がすっかり氷に覆われている。昨日の大雨で川のように流れた水が夜間の冷え込みで凍結したものである。下山の難所の雪渓を通過した後は、気分が明るくなる。まるで試験が終わった時のような気分だ。熊糞山、清太岩山で大朝日岳、以東岳をカメラにおさめ今回の山行の締めくくりとする。
 登りの人は、2人だけ。柳川温泉(@200)で目にしみる新緑を愛で、汗を流し、帰路につく。